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続・怠け者の賛歌

2007.2月某日作成。 ネタの投下をメインにヲタクな小話とか雑記とか(本館夢サイトと別館二次創作サイトで共有中)

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情けは人の為ならず

最強風味なルークさんの話。inチーグルの森、ライガクイーン説得。

ルークは当然のように、イオンとミュウ贔屓気味。
ティアの扱いが随分酷いです。ティアが好きな方はUターン!



ではどうぞ。







 ウザいめんどい帰りたい。
 そうは思っても、何故か上手く行かないのが世の常と云うもので。

 ――いつものように代わり映えのしない日々を、俺なりにド派手に演出しながら過ごしていたある日。
 髭ことヴァン・グランツが来たと云うことで仕方無くガイいぢめを中止して、両親に呼ばれて行ってみればダアトに暫く戻らなければならないと聞き浮かれたのも束の間。
 張り切り髭に付き合わされてしなくても十分達人級な剣の稽古をさせられていると、いきなり屋敷中の人間がバタバタと倒れだして、なんだなんだと思っていたら髭を狙った襲撃者が我が物顔でこちらに向かって走ってきたので思わず木刀で襲撃者の一撃を受け止めてしまったところ、どうやら擬似超振動が起きたらしく――

 音素レベルまで分解されて吹っ飛ばされて行き着いた先はなんとお隣のマルクト領。うっかりどころでは済まない事態にオイオイやべーよとか思っていたら、襲撃犯ことティアが偉そうに前衛で戦えとか言ってきて。コイツ正気か? と頭の心配する間も無く、キムラスカ領とは正反対に向かう馬車に恩着せがましく乗せられ.....もう如何にでもなれとひと眠りし。
 ようやっと勘違いに気付いたティアの提案で辿り着いたエンゲーブでは、妙な言いがかりをつけられて食料窃盗犯にされかけ(よそ者ってだけで決め付けた村人はある意味賞賛に値する。自分達の村の暮らしを支えているのがそのよそ者だっていうことを理解しているのだろうか)それが収まったかと思えば、朝一番に村の外で見かけたローレライ教団の最高指導者・導師イオンが一人でフラフラしているのを見てしまい、チーグルの森へ行きたいという彼の無謀な願いを何故かティアが「では私が着いて行きます」などとか言い出し(導師は貴い存在なんじゃないのか、おい)

 で、今に至ると。(長い説明だった.....)

 ちなみに現状。チーグルの森に住み着いたライガクイーンを説得すべく彼女らの巣に向かい交渉してみるも見事に失敗。原因は明らかに戦意満々の某教団員と、ライガが北の森を出ざるを得なくなった原因である通訳のチーグル(名前はミュウ)にあると思われ。
 .....まぁ前者はともかく、ミュウは未だ子供だから交渉下手なのも仕方が無いのかもしれないが.....
 で、渋るイオンを無理矢理下げて、殺ってやるぜと言わんばかりにナイフを抜いたティアをライガクイーンが咆哮一発で気絶させた。爆笑。ちょっと気持ちが良い。
 .....何はともあれ、邪魔者が一人消えた。

「おいブタザル、交渉役交代だ。ソーサラーリング貸せ」
「みゅみゅ?」
「ルーク.....」
「まぁ此処で殺すのも簡単だけどな。ガキ守ってるだけの母親殺すってのもなかなかサイテーだろ?」

 イオンにそう言って、半ば無理矢理ブタザルの身体からソーサラーリングを引っこ抜くと、此方を警戒するライガクイーンの前に腰を落とす。戦意が無いのを感じているのか、ティアに対してのようにいきなり牙を剥くような真似はしないようだ。
 うんうん、人間と違って、獣や魔物は素直でよろしい。

「なぁクイーン。まーこっちも大概無理言うかもしれんが、此処出て行ってくれねぇか」

 リングを腕につけて、クイーンに向かって話しかける。すると、リングの御陰でこちらの言葉が伝わったのか、クイーンは僅かに身じろぎして、俺を見た。

《.....それは出来ない。我らがこの森に来たのは、チーグルに対する報復のためだ》

 恐らくクイーンのものであろう、聞こえてきた声は何処か威厳を漂わせた女のそれに、内心すげぇなぁと思いつつ。

「うーん.....ま、そちらさんの言い分もよく分かるけどな。でも、此処が人間の集落に近いってことは分かってんだろ」
《..........》
「もし、此処にライガが居るって分かれば、当然人間はお前達を駆逐しにやって来る。いくらお前達が強いといっても限りがあるだろう。そしてそうなった場合、一番に狙われるのは――」

 其処で思わせぶりに言葉を切って、クイーンの真後ろにある卵に視線を向ける。こういうのを業界用語で脅しっつうんだろうけど、俺が語っているのも真実だ。
 暫しの沈黙が、俺とクイーンの間に訪れる。そして――

《――確かに、お前の言う通りだ。焔の髪を持つ人間よ》
「なら」
《我らは、人の手の届かぬ森へと移ろう》

 クイーンの言葉に、俺は口の端を吊り上げる。.....交渉成立、だな。

「さんきゅーな、クイーン。人間の代表として礼を言うよ.....おいブタザル、お前も謝れ」
「みゅ! みゅうみゅみゅみゅうみゅみゅ.....!(はいですの! ライガクイーンさん、本当にごめんなさいですの.....!)」

 リングの力でブタザルの言葉も伝わってくる。その言葉に誠意を感じ取ったのか、クイーンはブタザルを一瞥すると、別に構わないとでも言いたげに喉を鳴らして、その丸っこい輪郭を舌でひと舐めして立ち上がった。
 それと同時に俺も腰を上げて、ブタザルにリングを返してから、イオンを振り返る。

「おいイオン、引いてくれるってよ」
「本当ですか! ――ありがとうございます、クイーン!」

 俺が言うと、イオンは心からの笑みを浮かべて、ライガクイーンに一礼した。こう言うのもなんだが、イオンは本当に純粋で、とてもあの髭と同じローレライ教団の人間とは思えない。癒される。

 それからの俺達は、気絶しているティアを放置したまま、ライガクイーンの他の子供たちに手伝ってもらいつつ彼女達の引越し準備に手を貸してやる。その辺りに生えていた蔓や葉を見繕って卵を包んでやり、クイーンの背から落ちないようにしっかりと括りつけると、森を去る彼女達を見送った。


「それにしても、クイーンに人間の子供が居るってのは吃驚だなー」
「それは多分、僕の元導師守護役だったアリエッタのことだと思います。彼女は魔物に育てられたと聞いていますから.....」
「へぇ.....クイーンの娘さんなら会ってみたいなぁ」

 などとか話しつつ、放置したままのティアの元へ戻った。俺達が近付いても目を覚ます気配が無かったのでし方無く、その頬を軽く叩いてみれば、彼女は漸く意識を取り戻したようだ。
 .....軍人として、それは如何なんだろう。

「.....ルーク? ――ライガクイーンは如何したの?!」
「クイーンなら、説得して引いてもらったけど?」
「引いて、って.....まさか、卵も一緒に? 軽率だわ、もし人間を襲うようなことがあったら.....」

 .....ティアの《まず殲滅ありき》の思考回路に嘆息し(こういうトコだけ軍人思考ってどうなんだオイ)それを押し隠すように口を開く。
 正直、この女と話すのは疲れる.....

「クイーンは人の手の届かない森へ移住すると言った。人は襲わないともな」
「それは嘘かもしれないわ」
「嘘? なんでライガさんたちが嘘をつくんですの? ライガさんたちを疑うなんてティアさん酷いですの」

 ブタザルの口撃に、ティアが呻く。よーしよく言ったブタザル。その根性は案外気に入ったぞ。ふっ、いい気味だなそのままブタザルに言われて凹めついでに口を開くな俺のセンサイな神経が磨耗される。

「.....では取り敢えず、チーグルの巣に戻りませんか? ライガクイーンのことを長老に報告しましょう」
「あぁ、そうだな」
「戻るですの!」

 ずーんと落ち込むティアを放って、俺達は、ライガクイーンの巣を後にした。

 報告を終え、チーグルの森を出ようとした俺達を、陰険嫌味眼鏡のマルクト人率いる兵士に囲まれ戦艦タルタロスに拘束される羽目になるのだが―――それはまた、別の話。


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