続・怠け者の賛歌
2007.2月某日作成。 ネタの投下をメインにヲタクな小話とか雑記とか(本館夢サイトと別館二次創作サイトで共有中)
殺戮の天使
断片的に思いついたネタをSS化。
毎度お馴染みアビス。
アッシュ帰還ED後ルーク狂と化したティアが、何の因果か逆行?する話。
めっちゃ殺伐としてます。
流血とかバンバンしてます、人死に表現あります。
ぶっちゃけティアが怖いです。
読みたい人は続きからドゾ。
漸く、彼を救えると思っていた。
以前の己はあまりにも愚かで醜悪で、彼が笑顔の下でずっと泣き続けていることにも気付かず世界のために愛しい彼の命を捧げて。
そのことに気付いたのは、彼を失ってしまった、ずっとずっと後のこと。
好きで、好きで――愛してやまない。
想い続けるあまり狂ってしまった脳の何処かが囁き続ける「壊してしまえ」の一言を。
愛してやまない彼を奪い去った彼に、最早未練などは無い。唯一あるのは、彼はこの世界を救うために尽力したという事実。だからこそ、長い間耐え続けてきたけれど。
(愛しい貴方が居ない世界に、如何して存在していられると言うの)
嗚呼、これすらも彼の行いを侮辱するものでしかないのだろう。自覚しながら、自らの喉笛に突き立てたナイフに込めた力を緩めようとは思わなかった。
そして、戻ってきたのだ。
ユリアシティから外殻大地に赴く直前、あの何も知らなかった頃の自分に――戻ってきた!
それを知った時、己を満たしたのは歓喜かそれとも。
どちらにせよ、今から向かうところに彼は居る。生きて、あの醜い鳥篭の中で翼を広げることすらかなわぬ小鳥のように。
軍服を脱ぎ捨て、黒衣の装束を身に纏い、深淵へと誘う譜歌を紡ぐ。
特に顔が割れることに大した危機感など持たないが、これから愛しい彼を攫って、連れ帰って、二人だけで暮らすのに、自分が指名手配などされていたら不都合だ。
磨き上げた投げナイフの先端に即効性の毒を塗りつけ、手に構える。血筋のせいか譜歌が効き難いだろうが、意識を朦朧とさせ……否、手足の動きを鈍らせるだけで十分効果がある。今の自分は当時の男よりずっと実力も経験も豊富だ。
そして目論見通り動きの鈍い男に、妖しく光るナイフを突きつける。
「さようなら、ヴァンデスデルカ」
告げた名か、或いはその声音にか、男――ヴァン・グランツは瞠目して咄嗟に剣を構えようとした。が、一足遅い。
ヴァンの心臓を正確に貫いたナイフは、刀身こそ短いものの毒を体内に注ぐには十分すぎる致命傷だ。そして予想通り毒に侵されたヴァンは膝を突き、苦悶の表情で喉を掻き毟る。即効性とは云え、僅かでも苦しんで死ねばいい。
その様子を冷たい目で見下ろしていると、背後から、小さな悲鳴が聞こえた。
覚えのある声に、愛しいあの人の声だと気付くものの、其処にあった僅かな違和感に初めて顔色を変えて振り返る。
「貴様……ヴァン謡将に何をッ」
同じ顔、同じ声――違う!
愕然とした。殆ど差異の無い外見も何もかも、けれど自分が覚えている彼とはまるで違う。
(どうして――被験者が此処にいるの)
瞬間、我が身を襲ったのは言い様の無い怒りだった。『以前』確かに陽だまりを奪われたと愛しい人に喚き散らしていた彼は、けれども今の自分にとって、愛しい人から居場所を奪った咎人に過ぎない。
傲慢と言われても良い、だけど彼が生きていればそれで良かったのに。
「何とか言え、屑が……!」
放たれた言葉に、怒りを通り越して能面のように無表情と成り果てた。
愛しい人の居場所を奪った彼。愛しい人が居ないのであれば、如何すれば良い?
答えは一つ、単純明快。
「――、違う」
「な、に」
ぽつりと囁かれた言葉に、少年が眉を顰める間も無く。
「ぁ」
気が抜けるような最期の言葉と同時に、紅の髪の少年は地に伏せた。
王国を象徴する、その髪と同じ紅の血がどくどくと流れ出ても、彼女はただそれを無言で見下ろすだけで。
(……何処なの)
やがて、ふらりと動き出し、屋敷を出て当ても無く消えていく。
(何処なの、ルーク)
彼女の行方は、誰も知らない。
*****
多分、ルークは生まれてません。アッシュは記憶操作されてヴァンを妄信してるただの被験者。ヴァンはアッシュの超振動で世界ぶっ壊し計画とか考えてました。
この後のティアはどうなんかな、ルークが居ないと知ってやっぱり自害するのか、ベルケンド辺りに残ってたアッシュのレプリカ情報使ってルークを生み出すのか。
どっちにしろ狂ティア。
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