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続・怠け者の賛歌

2007.2月某日作成。 ネタの投下をメインにヲタクな小話とか雑記とか(本館夢サイトと別館二次創作サイトで共有中)

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忠言は耳に逆らう

懲りずにTOA。
オリキャラによるツッコミ話です。アニス好きな人は読まないで下さいね!そして例によってルーク愛。

ゲーム本編の方で、導師守護役長は空位になっておりましたので、そこにオリキャラ入れた話を妄想してました。レベル上げしながら。
オリキャラの名前はセレスタイト=エイルさんといいます。
アニスに結構きっついこと言ってます。ツッコミってか制裁系?それでもよろしければどうぞー




 






 ルーク達一行が和平の親善大使としてアクゼリュスへ向かう道中、ケセドニア・キムラスカ領の宿に現れたのは、一人の女性だった。
 日の光に照らされて輝く銀の髪は絹のようで、思わず目を細めてしまうほど美しく、白磁の如き肌と相まって、一見儚げな印象を持たせるその外見には、それらに見劣りしないほどの美貌が備わっていた。
 ふわりと微笑まれることに慣れていないルークは、それを向けられて、思わずたじろいでしまう。。
 ――こんな笑顔を、自分は知らない。
 声を失ったルークに立ったまま最上の礼を取ると、彼女は、流れるような動作で、導師イオンの前に跪いた。

 

「お久しぶりで御座います、導師イオン」

 恭しく礼を取られたまま告げられた言葉に、何故かイオンは逡巡し、ぎこちない笑みを浮かべて見せる。

「……貴方は」
「セレスタイト=エイルですわ、導師」

 美しい声――意外に中性的な声音だった――で告げた彼女、セレスタイトは、けれどもしかし、決して頭を上げようとしない。それが何故であるかは、セレスタイトの纏う神託の盾教団衣がはっきりと示していた。
 彼女の名前に、イオンはぴくりと反応する。だが、同じ神託の盾騎士である筈のアニスやティアはきょとんとした顔を見せるだけだったので、ジェイドとガイは、目の前のセレスタイトがさほど名のある教団員では無いのだろうと判断した。

「ダアトから突然姿を消されてしまわれて、我ら教団員一同、皆胸を痛めておりました」
「すみません、セレス……けれどどうしても、僕にはやらなければならないことがあったんです」
「はい、伺っております。マルクト・キムラスカ間の和平締結ですね」

 未だに頭を下げたままのセレスタイトにイオンは声をかけ、顔を上げるように促した。その声に応えるがまま、彼女は漸くその美貌に浮かべた微笑を見せる。
 ――勝手をして呆れられてしまったのでは、と、イオンが抱いた一抹の思いが杞憂だったと分かり、イオンは静かに安堵した。

 其処で、イオンの隣に立っていたアニスが、僅かに眉を顰めながらイオンに問い掛ける。

「イオン様ぁ、この人誰なんですかぁ~?」

 アニスの言葉に、イオンは一瞬固まってしまい――彼が慌てて口を開くよりも早く、件の麗人から鋭い叱責が飛んだ。

「――お黙りなさい、役立たずの導師守護役」

 掛けられた侮蔑に、アニスはぽかんとして――直後、その愛らしい顔が憤怒の色に染まる。
 しかしそんなアニスに構わず、セレスタイトはイオンの許可を貰ってから悠然と立ち上がり――濃紺の双眸に冷えた怒りを湛えて、彼女を真っ直ぐに見つめる。
 その瞳の苛烈さに、周囲にいた誰もが、思わずその身を引いた。

「あら、役立たずと言われて何を怒っているのですか。事実でしょうに」
「あっ、あたしの何処が――!」
「……バチカルにおける導師誘拐、その際に生じたであろうと推測される貴方の職務怠慢……役立たず以外の何者でもないでしょう」

 きっぱりと言い切られて詰まるアニス。そんな彼女を見かねてか、妙な仲間意識を持ったティアが横から割って入った。
 彼女が身にまとった教団衣を一瞥して――セレスタイトは無言で怒りを募らせるが、彼女はそれに気付いていない。

「導師を誘拐したのは六神将だわ。アニスは何も……」
「簡単に誘拐された、そのことが問題だと言っているのです」

 ティアの言葉を遮ってから、セレスタイトは視線を、一行唯一のマルクト人――ジェイドに向ける。年の功なのか経験の差なのか、ロニール山脈の猛吹雪よりも冷たいであろう彼女の睨みを真っ向から受け止めても、彼は微動だにしなかった。
傍に居たガイが、思わず心の中で拍手を送る。

「カーティス大佐、でしたわね。部下から報告は受けておりますが……当事者であった貴方にお伺いしますわ。バチカルで導師がかどわかされた際――この不心得者は何と言っておりましたかしら?」
「………確か…………《起床》時には《既に誘拐された後》………………だった、と………………」

 にこにこと見つめられるセレスタイトの微笑みは、その実瞳がまったく笑っていない。その理由を、ジェイドはバチカル出発の際にアニスが言った言葉ひとつひとつを思い出し――漸く理解した。
 そもそも気付くのが遅すぎる気もするが、セレスタイトはその辺りのことを突っ込んでは来なかった。軍人であればその程度のことすぐに気付けと暗に囁かれているようで、なんとも頭が痛い。――確かに、今の今まで疑問にすら感じていなかった自分が悪いのだと思うのだが。
 珍しくもジェイドがさっと顔色を変えたことに、周囲は首を傾げている。何がおかしいのかに、未だ気付けていないらしい。
 ――そんな中で一番最初に声を上げたのはルークだった。

「………あれ? アニス、寝てたのかよ?」
「……何を言ってるの、ルーク。夜なんだから眠るのは当たり前のことでしょう」
「そうですよう。それに夜更かしは、女の子の大敵なんですからぁ~!」
「教団の朝は早いと聞きますから、早寝……とまでは行かずとも、睡眠を取るのは当然のことですわね」

 口々に反論する女性陣に、ルークは更に口を開きかけて……止めた。
 今まで自分が言ってきた言葉は全て、彼らによって蔑ろにされてきた。今更自分が疑問を口にしたところで、まともに取り合ってくれないだろう……そう思ったのだ。
 ……彼が口を閉ざしたことに満足したのだろう。ティアが呆れたような溜息を吐いたのを見て、ルークは胸が痛むのを感じ――

「――ルーク様の仰る通りですわね、何故眠っていたのかしら? アニス=タトリン」
「……え?」

 思わぬところから同意を得られたのが余程驚きだったのだろう、ルークが、その翡翠色の瞳を一杯に見開いて、発言者であるセレスタイトを見つめていた。
 その視線に気付いたのだろう。セレスタイトは、先ほどまでジェイドたちに向けていたのとはまったく質の違う穏やかな微笑を浮かべた。

「アニス=タトリン。貴方の役職はなんだったかしらね」
「わ、わたしは……イオン様の導師守護役で」
「だったら何故、眠っていたのです?」
「だって、」
「導師守護役が、お守りすべきイオン様を放置して、惰眠を貪っていたと? これを職務怠慢と言わずに何と言うのかしらね」

 ――通常、王族や身分の高い者を守護する任に就く人間は、その対象者が眠っている間にも警備を続ける筈なのだ。多くの人員がいる場合であれば交代で、少人数で――そう、今回のように守護役が一人だった場合は寝ずの番、或いは武器を手に立ったまま眠り、何かあればすぐに動けるようにしておくのは当然のことなのである。

「……にも拘らず、貴方はのうのうと眠りに就き、朝起きたら誘拐された後でしたと? ――ふざけるのも程々になさい!!」
「ひっ!!」
「もう止めて下さい、セレス! 彼らに連れて行かれてしまった僕も悪いのです」

 浴びせられた怒声にアニスが身を竦ませたのを見咎めて、イオンが彼女を庇った。何処をどう気に入っているのかは知らないが、それでも、仕える主にそう言われてしまえば、これ以上セレスタイトが彼女を叱責することは出来ない。
 ――やや感情的になりつつあった己を静めると、セレスタイトはイオンに向き直り、「申し訳御座いません」と膝を着いた。

「イオン様がそう仰るのであれば――」

 しかし、収まりつつあった怒りに再び火を注ぐように騒ぎ出したのは、他ならぬアニス本人だった。
 (彼女的に)訳の分からぬことで叱り飛ばされプライドを傷付けられ、其処を導師イオン本人に庇われた形となった故に、何か勘違いをしたらしい。
 さっきまでの脅えの顔は消え失せ、嘲笑するような表情でセレスタイトに喚き始める。

「何よ、アンタさっきから……意味分かんない! 大体何様のつもり? 偉っそうにさ!」

 ……これには、ルークも開いた口が塞がらなかった。
 ファブレの屋敷で暇を持て余すような毎日を送っていた頃、彼の周囲では、寝ずの番で屋敷を警護する白光騎士団の存在は当たり前だった。自分にとっては如何でも良かったが、父である公爵は(良く分からないものの)キムラスカにとって要人であることは疑いようも無く、警備をする側にとって、夜間の警護がどれほど大事なものだったのかが窺い知ることが出来る。故に、アニスが自分の失態を自覚していないということが信じられなかったのだ。
 ――しかし、セレスタイトが何者か、という疑問は尤もなもので、取り敢えずアニスの失言は見捨てて置けないにしても、それは確認しておく必要があるのも確か。
 イオンを除いた全員分の視線が自身に集まるのを感じて――セレスタイトは実に器用に、アニスに対する視線のみに軽蔑で返し――

「……貴方は、自分が勤める部署の長も知らないのですね。まったく、呆れた導師守護役ですわ」
「――!!!」

 アニスが滑稽なまでに身体を震わせたのを視界の隅に収めながら、セレスタイトとは、にっこりと微笑んで一礼した。

 

「神託の盾騎士団所属、導師守護役長を勤めさせております――セレスタイト=エイル謡士と申します。以後――お見知りおきを」




オリキャラ・セレスタイトさんは、自分でも結構気に入ってるので、いずれまた書いてみたいと思ってます(まだツッコミ足りない部分もあるしね!にこ!)
実はまだまだ色々な設定があって、今回其処まで書き切れませんでしたし。実は○○とかー○○とかーああ楽しい(変態め)


セレスタイトは宝石の名前。『休息・恋愛・満足感・喜び・先見の明・心の開放・社交性・冒険心・精神的自由・心身の調和・家庭内円満』などの意味があるらしいです。調べました。
ファミリーネームのエイルは、北欧神話の女神の名前……だったと思います。よく覚えてない(おい)

 

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