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続・怠け者の賛歌

2007.2月某日作成。 ネタの投下をメインにヲタクな小話とか雑記とか(本館夢サイトと別館二次創作サイトで共有中)

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胡蝶の夢

ふと思いついたSS。
これも夢小説ってういうのかなぁ。



アビスパラレル、ヒロインはナタリア(メリル)のおねーちゃん。
デフォルトの名前はメルティ。
本編開始17年前。

ではいってみよう。


 気が付けば、見知らぬ女性と見知らぬ部屋が視界に映って、わたしは思わず混乱した。

 なんだ、これ。
 こんな場所、わたしは知らない。

 多少手狭だけれど一人暮らしには丁度良い部屋は南向きで、それなりに満足しているわたしの城だった。
 間違っても、こんなカントリー風な部屋などではない。

 呆然とするわたしに、見知らぬ女性が微笑みかける。
 美しい金の髪を持つ、綺麗な女性だった。

「どうしたの、メルティ?」

 名前――そう、決して私のものでは無い筈の名――を呼ばれて、唐突に理解する。
 ああ、この人はわたしの《母親》なのだと。
 ……有り得ない。
 そんなことは、有り得ないのに。

「もしかして、街全体が浮かれているから、それがメルティにも移ったのかしらね」

 くすくすと、鈴の鳴るような声は、何処かで聞き覚えがあった。

「お姉さんになっても、まだまだメルティは子供ね――ねぇ、メリル」

 そう言って、彼女は、傍にあったベビーベッド――なんと驚くことに、それは、わたしの身長ほどもある大きさのベッドだった! わたしの身長は、決して平均以下ではないのに――に笑いかける。
 直後、きゃらきゃらと無邪気にはしゃぐ声が聞こえてきて……

(メリル……メリル!)

 思い至った。


 此処は、あのゲームの世界なのだ。



「もうすぐ、インゴベルト陛下の第一子がお生まれになるのよ。メリル、同じ歳に生まれるなんて――メリルは幸運な子ね」

 本当に嬉しそうに笑う母とは対照的に、わたしは震える。
 何故なら、インゴベルト陛下とやらの子供は――ナタリア王女は――……

「帰ったぞ、シルヴィア」
「あら、お帰りなさいバダック!」

 玄関の扉が開いて、大きなシルエットが入室してきた。
 その声は、わたしが知るよりもずっと若々しいものだったけれど、確信を抱かせるには十分過ぎるもので。

「元気だったか、メルティ、メリル」

 そう言って私を抱きかかえたその人は、紛うことなく、六神将黒獅子ラルゴ。今は確か、獅子王バダックだったか……




 幸せな家族の肖像が、其処にあった。
 この優しい光景がもうすぐ壊れてしまうことを、わたしは知っている。
 ――けれど、如何することも出来ない。
 だって、両親になんと言えば良いのか? メリルが祖母に奪われてしまうから逃げろと? そんな話、二人がまともに取り合ってくれるだろうか。
 信じてくれるかもしれない、けれど……信じないかもしれない。
 よしんば信じたとしても、何故そんなことが分かるのか、わたしは彼らに説明しなければならない。
 嘘のような……自分自身、今でも嘘だとしか思えないような話を。


 ……まだ赤ん坊のメリルに愛情を注ぐ両親を見つめながら、わたしはただ、呆然と立ち尽くした。



(救いよう無いな!・爆)
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