続・怠け者の賛歌
2007.2月某日作成。 ネタの投下をメインにヲタクな小話とか雑記とか(本館夢サイトと別館二次創作サイトで共有中)
雉も鳴かずば撃たれまい
げに恐ろしきはアビス人気か、それともルーク人気か。はたまたPTに厳しめ思考?
なにはともあれありがたいですね。
でも感想が無くて寂しいのも事実なので(返信出来ないくせに感想だけは欲しがる頭の悪い人間ですんません)今度メルフォでも設置しようかなぁ。
あと久しぶりに携帯サイトも更新したよー
二次創作と本館の夢小説につられて、携帯サイトのアビス連載も若干厳しめになりそうな気配ひしひし。
気を取り直して小話。
題して「ルーク含むPTメンバー全員が逆行!?でもルークはそれを望んでいなくてむしろ元仲間への報復に利用しちゃう黒ルーク+ローレライ様」です(長)
さわりの部分だけね。まぁちょろっとだけお試しで。
まぁ正直な話、果たしてルークが戻ってきたところで幸せになれたかってことで……むしろ何時捨てられるかわからなくて始終脅えてた同行者と自分を屑屑罵倒して見下す被験者が待ってるんだって分かったら、そりゃ音譜帯に居残るわって感じで。
上の説明から見て分かりますが、仲間に対して厳しめです。いつものことですが。
それでもよければどうぞ。
穏やかな時が流れる音譜帯にて――
元・ルーク・フォン・ファブレのレプリカは、微睡みの中を過ごしていた。
少々退屈すぎるきらいがあるがそれでも、いつか自分が過ごした下界よりも此処は余程居心地が良い。
下界は――人の世界は、最悪だった。
レプリカというだけでこちらを見下す人間。利用されたのは自分とて変わらないのに、被験者というたけで全てを許される、被害者面した人間。そのくせ、レプリカが何かミスをすればたちまち罵倒し、追い詰めるのが好きな人間。
あの世界で生きることが、苦痛だった。――故に、今は満ち足りている。
だというのに、突然現れたローレライの告げた話の内容に、元・ルーク・フォン・ファブレのレプリカは舌打ちした。
《例の被験者たちが、お前の存在する過去へ戻ろうとしている》
「……はぁ?」
こっちは悠々自適の暮らしを送っているというのに、なんでまた、そんなことに。
口をぽかんと開けて思わず聞き返した元レプリカルークに、現れた第七音素集合体は穏やかな、しかし何処か呆れを含んだ声音で説明をし始める。
《お前が帰還しなかったそのことが、残念だったようだな。それゆえ過去へ戻り星の記憶を改変しようとしている》
ローレライの言葉を聞いた元レプリカルークは、今度こそ蔑みを含んだ溜息を隠さずに、漏らした。
「あいつらマジで馬鹿なんだな……戻れないんじゃなく、俺の意思で戻らなかっただけなのに。それとも俺があいつらを仲間だなんて、今でも思ってるって考えてるのか?」
《そうだろう。過去の己を顧みずただ求めるだけとは……なんとも嘆かわしいことよ》
ローレライが肩を竦めるような仕草をする(音素集合体が、なんとも芸の細かいことだ)
――確かにあの頃は自らが還る音譜帯がどういうところか知らなくて、ただ死ぬことが怖かった。音素に還り、世界で過ごした記憶も何もかもを無くしてしまうことが怖かった。
けれどそれと同時に、皆から見捨てられるのも怖くて。
気付けば、選択肢と世界を救うという大義名分の下で自分を追い詰める彼らのことが大嫌いになっていた(もっとも、そのことに気付いたのは、剥離するその瞬間だったけれど!)
「……それで? ローレライ、なんでそのことをわざわざ?」
《お前に関わることだからな……まぁ、我がその気にならねば、奴らとて戻ることなど出来やしまいが》
「星の記憶ってのはお前のことだもんな。――ん、いや……待てよ?」
過去に戻るには、ローレライの力が必要。ローレライは星の記憶であり、そして大いなる力を司る存在である。何より、自分の完全同位体で……
ふと何かを思いつき、元レプリカルークは目を細めて何かを考え始める。その仕草は、この音譜帯に来た彼が様々な知識を吸収し、理解し、そして思考を巡らせる時のクセのようなもの。
――ああ、またなにか良からぬ事を考えているのだな。
音譜帯にやって来た頃からの付き合いである子供を見つめながら、ローレライは察した。勿論、口出しするような真似はしないが。
そしてそれは、元レプリカルークがにやりと口元を歪ませたことで、確信へと変わった。
「……いや、やっぱり過去に戻してやれよローレライ」
《良いのか? あやつらのこと、過去の改変と称し、過去のお前を自分達に都合の良い存在へと捻じ曲げてしまうかもしれぬ》
「俺もそう思うさ。だから……俺も、戻せよ」
《………そういうことか》
喜色満面の笑みを浮かべる子供の考えが漸く読めて、ローレライは無意識の内に嘆息した。
子供の望むことは、難しいことでもなんでもない。此処にある元レプリカルークの意識を保護し、過去の彼に移し変えるだけで良い。そうすれば星の記憶は上書きされる。
しかし、それだけではないのだろう――この子供の企みは。
「あいつらがわざわざ過去に戻るんだ。だったら俺も戻って、幾ら足掻いても変えることの出来ない絶望って奴を何度でも思い知らせてやるさ」
――あははははっ!
心の底から愉快そうに笑う子供。それはあまりにも歳相応の表情。
しかしローレライは、子供の企みを妨げるような真似はしなかった。彼がどれだけ理不尽で、残酷で、傲慢な人間に振り回され続けたかを知っているから。
《お前がそう望むなら……ついでに我も一緒に行くが、良いか?》
「なんで?」
《栄光を掴む者を、一度泣いて謝るまで叩きのめしてみたかった》
ローレライがそう言うと、子供は再び、大きな声を上げて笑った。
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